Prompt を、動くものまで連れていく。
思いつき、会話、試作、検証をつなぎ、AI の出力を実際の画面と判断へ戻すための実践記録。
研究ノート01
先に、何を作るかを言葉にする。
Prompt は、要件の代わりにはならない。
画面を作る前に、誰がどこで困っているのか、どんな状態なら助かったと言えるのかを、自分の言葉で書く。機能名だけでは、入力、応答、例外、終了条件がまだ言葉になっていない。
まずはブラウザで再現できる小さな場面まで課題を絞り、それから AI に案を出してもらう。その方が方向の違いを比べやすく、きれいな文章を動く成果物と見誤ることも減る。
本当に残したいのは Prompt そのものではなく、ほかの人が読み直して検証できる課題の記述だ。
- 01
CONTEXT
誰が何に困るか
- 02
SCOPE
今つくる範囲
- 03
ACCEPT
何を見れば終わりか
02
Prompt は一行の指示ではなく、見直せる作業メモだ。
背景、制約、そして今の判断をひとつの場所にまとめる。
長い対話の中では、古い案と新しい決定が混ざりやすい。今採用していること、あえてやらないこと、まだ足りない検証を短い一覧にし、次の作業が同じ境界から始められるようにする。
このサイトの制作でも、AGENTS.md、DESIGN.md、content、messages、テストがそれぞれ異なる役割を担っている。これらを Agent に渡すのは、情報をすべて Context に流し込むためではなく、どこがルールで、どこが中身で、どこが検証かを伝えるためだ。
Context を整理する目的は推測を減らすことであり、誰も最後まで読まない仕様書を作ることではない。
- 01
PROBLEM
今どこで詰まっているか
- 02
DECISION
この回で選んだ方針
- 03
BOUNDARY
今回はやらないこと
- 04
EVIDENCE
何をもって確認するか
03
まず薄い縦切りを作り、本物のデータを戻す。
文章で筋が通っていても、画面で動くとは限らない。
まずは最小で完結する一片から作る。入口が一つ、主動作が一つ、結果を確認できる場所が一つ。少量のデータで骨組みを確かめてから、長い文章、エラー状態、実機の画面幅を戻していく。
この段階で、筋が通って見えた Prompt が覆ることも多い。ボタンが押しにくい、見出しが不自然に折れる、情報の順序が違う――それは AI の文章ではなく、プロダクト自身が疑問に答えている瞬間だ。
だから最初のデモを成果物とはみなさず、次の問いを考えるための具体的な材料として扱う。
BRIEF
課題と制約を言葉にする
SLICE
一続きの流れだけを作る
SCREEN
実際に動かして確かめる
04
部品を並べることが答えではない。次の行動が見えるかが大切だ。
読者が次にどこへ向かうかを見てから、配置を決める。
AI は画面をカード、ボタン、section に分けるのは得意だ。難しいのは、いつ方向を示し、いつ細部を渡し、いつ判断を休ませるかというリズムを決めること。
KENLIN.CC では Work、Journal、Photography を入口として分け、それぞれの読む速さを残した。KIROKU では Discord の一言を整理、検索、振り返りへ戻す。
良い構成は、自分が部品でできていることを説明し続けない。次の動作が自然にわかる。
- ORIENT
- 今どこにいるかを伝える
- ACT
- 迷わない次の行動を示す
- RETURN
- 結果を振り返りやすくする
05
推測を分解し、確かめられる根拠にする。
完了報告は、受け入れ確認ではない。
検証を層に分ける。Typecheck は型、Test は動作、Browser は実際の操作、Screenshot は読む感覚を見る。それぞれ違う問いに答えるので、一つで全てを代用しない。
三言語のサイトなら、日本語、繁体字、英語でも章の責任と証拠が同じように残っているかを見る。文字が翻訳されただけでは足りない。
そうすれば、どこを戻して直すかが分かり、曖昧な「たぶん大丈夫」で終わらない。
| 手順 | TYPECHECK | TEST | BROWSER | PIXEL |
|---|---|---|---|---|
| データの形状が正しい | 含む | 含まない | 含まない | 含まない |
| 振る舞いが契約通りである | 含まない | 含む | 含まない | 含まない |
| 実際に操作できる | 含まない | 含まない | 含む | 含まない |
| 読んでいて自然である | 含まない | 含まない | 含まない | 含む |
06
最後に残るのは、自分が使い続けられる結果だ。
AI は実装を速くできるが、その結果とともに暮らすのは自分だ。
すべての Prompt を一度で成功させたいわけではない。大切なのは、失敗したときにどの前提が違ったかを言えること、次にもっと正確に頼めること、そして結果が自分の仕事へ戻ること。
翻訳、Coding、このサイトの制作。AI は考える相手、実装する手、Review の別の目になった。位置が違えば、確認の仕方も違う。
完成は AI が言うものではない。自分が日常で使い続けられると決めたときに初めて残る。
- SPEED
- 反復できる作業を速める
- JUDGEMENT
- 人が方向と境界を決める
- USE
- 日々の生活で実際に使う場に戻す